※この話に出てくる名称は全て仮名であり、実際の業者や個人名については一切お答えできません。
あくまで、実話をもとにしたフィクションとして、お楽しみください。
前回までのおさらい
イノシシ夫婦の山の中に自分の土地があると主張する森田さん。
その土地は面積が小さいながらも、計画していた橋の対岸に位置しており、橋の建造計画は中止を余儀なくされました。
打開策を探るべく森田さん宅に突撃し、彼の意向を聞いたイノシシ夫婦でしたが・・・。
試される大地。マイ山
森田さん宅訪問、２週間後。
やる気満々で山に出かけたイノシシ夫婦でしたが、入山早々、強烈なカウンターパンチを喰らうことになります。
な、なんじゃこりゃぁ！！
マイ山に、見たことのない区画ができています。
付近の樹木には、赤いペンキでマーキングされている箇所もあり、私たちの居ないときに
何者かが侵入して行ったことは明らか。
実際の様子
そしてそのエリアは、そう。建造予定の橋の対岸。
森田さんが主張している土地とバッチリ一致しています。
・・・おのれ森田、血迷ったか！？
驚きの後に込み上げてきたのは、ふつふつと沸いてくる怒り。
そして、沸いてくる数々の疑問
なぜ、今なのか？
なぜ、無断でやったのか？
私たちがいない間、何があったのか？ etc…
先日、あんなに穏やかに話し合いをして、できる限りの協力をすると伝えたばかり。
ガッカリと怒りと疑問がごっちゃになって、感情の整理が付きません。
これだけ人間性が問われる局面もそうそうありません。まさに「試される大地」
とりあえず、一旦頭を冷やそ？
事態を呑み込むことができず、とりあえず開拓をして頭を冷やすことにしました。
ひたすら落ち葉や刈草を集めていれば、無の境地に至れると思いました。
・・・って、至れるかぃ！
というわけで、森田さん宅に突撃しました（２度目）
その道中
グングン君はとりあえず黙っていて。
私が話きいてみるから。
夫より、いくらか冷静な妻が森田さんへ事実確認する役目を買って出てくれました。
こんな時、女性のほうが相手に与える印象もいくらか柔らかいものになるでしょう。感謝！
森田宅にて
すみませーん
はいはい、どうも。
今日、山に行ったらペンキとテープで私たちの土地が区画されていたんですが、
森田さんご存じですか？
ご存じもなにも、俺がやったもん。それに、おたくの土地じゃないでしょ？
あそこは俺の土地だから。何度も言ってるでしょ？
え！？
いやいやいや、ちょっと待っ…
いいですか？おたくらは、騙されたんですよ。
あとは、山神さんとおたくで話してください。
と言って、切り上げようとする森田さん。当然、黙って帰るわけにいきません。
これ書いている今でさえ、思い出すと怒りがこみ上げてきそうです。
夫、ついにキレる。そして…。
おいおいおい、何を言ってるんだ？
あんた、言ってる事やってる事わかってるよね？
何なんだあんた、俺の土地なんだよ！
こっちはちゃんと面積測って目印打ってんだよ！
文句があるなら山神に言えって言ってるだろ？
経緯はともかく、この土地の現所有者はイノシシ夫婦であり、森田さんは無断で土地に侵入し
自らの主張に基づいて、勝手に土地を区画していきました。森田さんがいくら主張しようと、今回の森田さんの行為は違法です。
森田さん、先々週話したよね？
できる限り協力するって言ったじゃない。
勝手に入ってやっちゃうのが問題だって言ってるのが何で分からないの！？
だって、おたく先週山来なかったじゃない！
先週来たら言おうと思ってたよ、大体ここは俺の土地だって言ってるだろ！
そういう問題じゃないでしょ！
あんたの土地どうこうじゃなくて、やり方がおかしいって言ってるんだ！
あんたそれでも大人っ…！
森田さん、あなたこの前、山神さんが自分に断りなしに勝手に境界を決めて土地を売買したって
山神さんを非難してましたよね？あなた今、山神さんと同じ事してますよ？
それでいいんですか？
森田さん、我に返る
少しの沈黙後・・・。
それは…。確かにそうだね。
勝手にやった事は申し訳なかった。
妻の発言によって我に返ったのか、冷静になった森田さんから、謝罪の言葉が数度ありました。
私たちが山に行かなかった間、森田さんは山神さんに再度交渉を試みましたが突っぱねられ、今回に行動に出たとのこと。
森田さんの焦りが伺えます。
本件での、森田さんの意図するところは以下でした。
・自分の土地だと区画しておけば、驚いた私達が山神さんに連絡すると思った。
・私達が連絡すれば山神さんが現地まで来ると思い、そこで山神さんと話をするつもりだった。
・私達には、後日ちゃんと説明をするつもりだった。
色々とやり方に問題があるとは思いましたが、そこは謝罪を頂いたので今は水に流します。
森田さんとの協力、始まる
・・・それで、少し協力してもらえるかい？
森田さんにお願いされた協力の内容は、以下です
協力の内容
・イノシシ夫婦は被害者として、今回の事を山神さんに連絡してほしい
・山神さんとは話にならないから、社長を出してほしい
・明日の朝、社長を現地に呼び出してほしい
・社長を呼んで話をするまで、目印は撤去しないでほしい
山神さんがどういった方か、私達も土地売買の時に経験済みです。
最終的な契約は社長と交わしましたし、私達が社長に連絡するのは筋として間違っていません。
わかりました。と言ってこの場は終わりました。
最後にもう一度、森田さんから謝罪がありました。
イノシシ夫婦さん、本当に申し訳なかった。
おたくとは仲良くやりたいと思ってるんだ。本当に。
話合いを終えて
何だったんだろうなー
こんな事本当にあるんだなー。てか森田さん強引過ぎでしょ
森田さんも、精神的に参ってるのかもね。
社長へのアポイント
その夜忘れないうちに社長に電話して、アポイントを取ります。
打合せどおり、明日の朝来てくれるといいんですが。
もしもしイノシシ夫婦ですが、ご無沙汰しております。
実は昨年購入した土地の件で…。
えっ！そんな事があったんですか！？わかりました。
こちらでも事実確認をして向かいます。それでは明日。
・・来てくれることになりました。
本件に関し、社長は山神さんから何も聞いてない様子。
一抹の不安はありましたが、人事を尽くしたので、あとは天命を待つだけです。
次回、
打ち合わせ通りに社長と対面した森田さんですが、事態は思わぬ方向に…
お楽しみに！
