前回までのあらすじ
2023年、平和なマイ山に突如勃発した境界トラブル
その場所とは、計画中の橋の建設予定地。
森田さんと名乗る男性とすったもんだの挙句、
イノシシ夫婦が土地を購入した社長を巻き込んでの大騒動。
「あなたの言ってる事は誰も信じない!」という社長と
「感情的になると、とことん行っちゃう!」という森田さん。
泥沼化の気配しかしない状況。
・・・どうなる!?イノシシ夫婦!
戦いを終えて
・・・帰るか。
・・・うん、帰ろう。
片付けを終えて、帰宅の途に就くイノシシ夫婦。
すぐに帰って、お酒でも飲みたい気分ですが。。。
最後に、森田さん家寄ってく?よね?
多分、行くしかないんだろうね…。
先般のやり取りで、完全に感情のスイッチが入ってると思われる森田さん。
ノコノコ出向いて、刃傷沙汰になる可能性も否定できない中、ある種の使命感に突き動かされ、森田さん宅へ…。
ということで、お邪魔しました(3度目)
すみませーん
おー、イノシシ夫婦さん
先ほどはどうも。
出てきたのは、以外にもスッキリした表情の森田さん。
あれだけのやり取りの後。荒れててもおかしくないと思ってました。
さっきはごめんね、
見苦しいやり取りを見せちゃったよね
いや、森田さんこそ、大丈夫ですか・・?
うーん、やっぱりちょっと自分でも厳しいかなーと思うんだよね。
これっていう証拠がどうしても見つからないんだ。わかってるんだ、自分でも。
ただ、感情の部分が、どうもね…。
ですよね。あれじゃあ、普通怒りますよ。
ははっ。
こっちはもう少し知り合い筋を頼って粘ってみるよ。
それまで、あの土地は自由に使っていいよ。
橋、作ろうとしてたんでしょ?亀田さんからも聞いてるよ。
どっちにしろ、あの土地はイノシシ夫婦さんに譲ろうと思ってたんだ。
いやいやいや、橋作るにしても、すぐにあの土地で何かする訳でなし
こちらはあまり急ぎませんから。森田さんがご納得されたとき、おっしゃってください。
最後は、笑顔で森田さん宅を後にしました。
意外と晴れやかな表情の森田さんに、安堵するイノシシ夫婦。
ただ問題は完全に解決されたわけではなく、橋の建造は中断されたまんまです。
ドラマのような結末を期待されてた方、すみません。
今後、どうするのか
…かくして、
2023年初っ端から勃発したマイ山の危機はひと段落しました。
この、マイ山の一部のをめぐるトラブルは、森田さんの気持ち次第でもう少しかかりそうです。
橋の建造を予定していた重要なエリアとなりますが、今のままでは気持ちよく使うことができませんし、橋の建造をお願いしている亀田さんの友人ということもあり、森田さんが納得するまで調べてもらうことにしました。
「登記簿にあって、公図(地籍図)にない」という幻の土地が存在すること…。
これが、今回のトラブルの原因であり、
今回の話合いで完全に社長側と森田さんは対立する関係になってしまいました。
「数十坪の土地をどうこうする意思はなく、何らかの謝罪や誠意があれば手打ちにしてもいい。」
という森田さんの真意を社長がくみ取ることができれば、もう少し違った展開があったかもしれません。
ただし、社長が森田さんの心情をくみ取ったとしても、社長は森田さんの主張を絶対に認めることはないでしょうし、私たちも証拠がない以上、同情はしますが安易に認める事はしないつもりです。
目印になる木はあったのか、なかったのか。
証言者も生存せず公図にもない中、真相を知っている可能性があるのは、山神さんのみ。
俺も90だし!そんな昔のこたぁ覚えてねぇ!
今にもそんな答えが返ってきそうです。
終わりに・・・
2023年初っ端から、いきなり山林購入のリアルを実感させられたイノシシ夫婦。
きっとどこにでもある、田舎の取るに足らない土地境界トラブル。
しかしそれは、未経験者にとって「山林あるある」という言葉では片づけられないインパクトでした。
この話がこれから山林購入を考えている人、興味のある人に届き、
何かの参考になれば非常にうれしく思います。
この話に進展があり次第、また本ブログに続きを記載したいと思います!
続報をお楽しみに!
編集後記
※ここから先は、ご興味があればお読みいただければ幸いです。
「登記簿にあるが、公図にない土地」
・・・そんな土地が存在すること自体不思議だったので、少し調べてみました。
公図とは
公図とは土地の配置や形状、地番等が記載されている図面で、法務局に備え付けられています。
まず、日本国にある土地は、必ず誰か(個人・法人・国県市etc..)が所有していることになっており、「地番」という記号で、人為的に区切られています。
これは、明治時代の地租改正条例によるもので、課税のための土地区画でした。
当時は測量技術も未熟。課税される対象である庶民の手で検地測量、図面作成が行われていたそうで、
実際よりも狭く申告するケースが多発してたそうです。
土地を広く申告すればそれだけ多く課税されてしまうんですから、そりゃそうですよね。
ですので、現在実際測ってみたらだいぶ広かった。ということもザラにあるとのことです。
特に山林に関しては、所有者同士の区画の境目が立木であったり、先祖同士が置いたとされる石であったり
災害等でそもそもの地形が変わっていることも多く、
これが、「公図は結構あてにならない」と現在よく言われている理由です。
境界とは
このように区切られていった結果、「地番の境」が生じました。これが区画であり法律上の境界です。
この境界を「筆界」といい、土地を1区画ごとに「筆」という単位で呼ぶようになりました。
一区画の土地を2人の所有者に分けると、その土地は2筆になり、2筆以上に分けることを「分筆」といいます。文筆された土地には、新たな区画となり、新たな「地番」が割り振られます。
森田さんの土地がイノシシ夫婦の山にある根拠が薄い理由
森田さんの土地は、確かに登記簿上には存在します。
ただし、イノシシ夫婦の山に存在する可能性があるとは断言できません。
・「公図」に森田さんの土地の「地番」が載っていない。
→これは周知の事実。県と市に登録されている地籍図にも載ってなかったそうです。
・マイ山に「分筆」された履歴がない。
→マイ山に存在するなら、森田さんの土地が分筆されているはず。
心配になって、過去のマイ山の履歴を調べましたが、所有者が移転している履歴はあれど
土地が分筆された履歴はありませんでした。
果たして、森田さんに勝ち目はあるのか?
唯一あるのが、以下の可能性です。
・役所の人為的ミス
もともとの公図を作るときに地番の記入をするのを漏らしている。
分筆や合筆の登記の時に地番の変更や分筆線の記入を漏らしている。
この可能性は、少ないながらもあるそうです。
明治時代に作られた公図は和紙。
法務局にある公図は、保存上の観点から和紙からポリエステルフィルムへ、ポリエステルフィルムからコンピューターに再製されており、その再製作業の時にミスが発生することはあるそうです。
このミスを役所が認め、前所有者である山神さん(の会社)が境界を認めれば、森田さんの主張が通ることになります。
森田さんの主張が通ったとして、イノシシ夫婦の土地が森田さんの元に返る可能性を考えます。
土地が森田さんに返るには
森田さんに土地が返る=公図に地番が表示される。ということですが…。
莫大な費用が必要。
費用対効果の面でどうかという話です。
「確定測量」をすれば、土地が分筆され、公図上に地番を表示させることが可能とのことです。
確定測量には、対象となる区画をすべて測量する必要があります。
マイ山は山林ですから、それなりの広さがあります。主張する土地の広さの割に
測量する広さの土地が広く、その費用は森田さん負担となります。
隣地所有者の協力が必要。
山神さんは間違いなく協力しないと思われます。
私たちも、現時点の確定測量にはメリットを感じませんので、この点の協力は難しいです。
・・・以上様々な面で、言わば「詰んでいる」状況の森田さん。
この先どう主張を展開していくのかは不明ですが、あまり長期化せず適当なところで、平和的な終結を望んでいます。
イノシシ夫婦の計画は、まだまだ続きます
今回の一件で、山林売買のリアル、田舎のリアル、様々な事を学びました。
今後もリアルな山林開拓ライフを綴っていきますので、引き続きよろしくお願いいたします!
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!