※この話に出てくる名称は全て仮名であり、実際の業者や個人名については一切お答えできません。
あくまで、実話をもとにしたフィクションとして、お楽しみください。
前回までのあらすじ
イノシシ夫婦が山に来なかった間、無断で侵入し土地を区画していった森田さん。
驚いたイノシシ夫婦。森田さん宅に乗り込むも、まさかのトンデモ対応にブチギレ寸前。
一触即発の事態に発展するも、何とか和解。
翌日社長を山に呼び出し、話合いの場を設けることに成功。
果たしてこの話、どう決着するのか…?
決戦の朝 森田さん宅へ
AM8時
社長にアポ取れました。本日10時に来られるそうです。
ありがとう!社長は何て言ってた?私が行く事は隠しておいた?
もちろんです。社長は何も知らない様子でした。
森田さんが来ることを事前にばらしてしまうと、警戒した社長が来なくなる恐れがある。ということで
昨日の社長へ電話の時点では、森田さんが来るという事は隠しておきました。
そして、森田さんは、
これだけのトラブルなのに、社長が何も知らないのはおかしい。
山神さんが、何か言えない事を隠してるのかも…?
10時過ぎ、私と社長が話している間に、偶然を装って森田さんが来るという段取りを確認し
いったんこの場を後にしました。
マイ山にて
今週、全然開拓進んでないなー
むしろ後退してんじゃん。社長来る前に出来るだけやろうぜ。
しょうがないよね。こういう事が今までなかったのがありがたいよ。
AM9時過ぎ
勢いよく上がってくる車の気配が…。
えっ!何?誰?もう社長きたの?
いや、社長じゃないっぽいよ。
おはよーございまーす
・・・なんで亀田さん!?
なんと、声の主は亀田さんでした。
・・・一体何しに来た??
偶然か?いや偶然にしてはタイミングが良すぎる。
偶然じゃないにしても、何故亀田さんが知ってる??
いずれにしても、このタイミングはマズい・・・
亀田さん、今日は10時から少し用事があって。。
あー知ってる知ってる。
モリの件で社長と会うんでしょ?モリから聞いてるよ。
心配になってきちゃってさー
亀田さん、実は森田さんのお兄さん(故人)と大親友だったとのことで、
弟であるモリ(ややこしい)がこちらに戻ってきて以来、気にかけているそうです。
田舎のネットワーク、つくづく濃厚です。
何かあるとすぐに話が伝わるというのは、こういう理由なんですね。
モリはいいやつなんだけど、昔から感情的になると、とことん行っちゃうところがあって…。
・・・分かります分かります。私たちも昨日身をもって経験させてもらいました^^;
AM10時
おはようございます
何か大変な事になっているようですね?
あーあーあぁ。これはひどい…。
私たちは打ち合わせ通り、経緯を説明し、困っている旨を伝えました。
はいはい、山神からも今朝聞きましたよ。
たまに居るんですよ。こういった方。
私どもは、しっかりと境界を確認して、行政にも確認を取ったうえで売買してますから。
イノシシ夫婦さんは何も悪くないですからね。絶対認めないでくださいね。
山神さんは、本件を「取り合う必要なし」と判断し、社長には直前まで知らせていなかったそうですが…。
いざ、決戦の刻 ~森田さんVS社長~
現場にて
森田さん登場
ここからは、会話形式ほぼノーカットでお楽しみください。
おたくが社長さん?
そうですが、これは、あなたがやった事ですか?
そうだ。あんたらがウチに無断で売買したから、俺がこの前線を引いといたんだ。
あんた、なぜ境界を引くときウチを呼ばずに勝手に引いたんだ?
勝手じゃありません。しっかりと隣の方と立ち会って境界確認してますよ?
公図にもそう書いてありますし、この通り境界杭も打ってあります。
その隣の人とココとの間に、ウチの土地が有るって言ってんだよ!
はぁ?おかしな事言わないでください。
公図にないじゃないですか。何か証明できるもの出してくださいよ!
森田さん、例の分厚いファイルを手に取って…。
この登記簿だ。ここに数十坪って書いてある。
10年前に親戚からここに土地があるって聞いていた。
その時あった、目印になるこの木もおたくらが切ったんだろう!
あなたねぇ、言いがかりも大概にしてくださいよ!
大体そのファイルは何ですか?公的に証明できるものがないでしょう?
じゃあ、その親戚の方連れてきてくださいよ!
・・・親戚は、もう居ない。
言いがかりじゃない!法務局にも市にも県にも行った。
で?証拠はあるんですか?ないですよねぇ?
役所の方、何て言ってました?どうせ取り合ってもらえなかったでしょう?
証言者である親戚もいない、証拠もない!あなたの言ってる事は、誰も信じませんよ!
イノシシ夫婦さん、亀田さん聞いてますか?
この人おかしい事言ってますよね?
いやぁ…。
ふーぅ…。
・・・もう、苦笑いするしかありません
俺はただ…。
じゃぁ、この件は一体どうなるんだ?
どう保障するつもりだ?
保障?だから、証拠を出してくださいって!
百万が一、ここにあなたの土地が仮にあるとして、
大体こんな価値のない狭い土地、引き取ってどうするんですか?
無税でしょ?固定資産税払ってないんでしょ?放棄しなさいよ!
金の問題じゃ・・・。
あんたなら、少しは話通じると思ったんだけどな。
・・いいよ。弁護士に訴えるから。いくらかかってもいい。やってやる。
あーはいはい。
好きにしてください!弁護士でも、裁判でもなんでもやってください!
言っときますけどね、あなたの言ってる事は誰も信じませんよ!
それでこんな違法行為して!
イノシシ夫婦さんも困って私に電話してきたんですよ!?
今すぐこの目印を抜いて持って帰りなさい!あなたがやらないなら、私がやります!
と言って、次々と目印を抜いていく社長。
その姿は鬼気迫るものがありました。
・・・それにしても価値のない土地って、ねぇ…。
今日のところは、これで帰るよ。
絶対、認めさせてやるからな。
どうぞどうぞ、好きにしてください!
どうせだれも信じませんから!
森田さん、帰る。その後
たまにいるんですよ。こういう頭のおかしい人。
イノシシ夫婦さんも絶対認めちゃいけませんよ!
確か、ここに橋を造られるんですよね?
もう大丈夫ですよ。作っても全然平気です。
いやー、こんな状況下でさすがに橋は作れないですね^^;
どうしてです?あんな頭のおかしい人の戯言、無視で結構でしょ。
やっぱ、地域の方と仲良くしたいというかなんというかゴニョゴニョ…。
社長、私とモリは小さい頃からの仲でね。
決して頭がおかしい奴ではないよ。
亀田さん!そういえば、あなた森田さんに呼ばれてきたの?
いやいや、私は偶然通りかかってね。
イノシシ夫婦さんから橋を頼まれてるから様子を見に…。
それで、最近ゴルフはどうですか…?相変わらずやってる?
いやー、スライスばっかりですよハハハ
亀田さんこそ、最近やってる?じゃぁ今度…。
亀田さんは、社長とゴルフ談義をしながら、マイ山を去っていきました。
最後の最後、森田さんの名誉を守った、亀田さん。
・・GJ。
戦いを終えて
・・・疲れたな
・・・うん、疲れた。帰ろう…。
かくして、一連の騒動は一応の終結を迎えたわけですが…。
「あなたの言ってる事は誰も信じない!」というパワーワードを振りかざし、心を折りにくる社長。
「感情的になると、とことん行っちゃう」という亀田さんの予言通りの行動に出そうな森田さん。
・・・間違いなく泥沼化しますって、これ(~_~;)
次回!
帰り際、再度森田さん宅へイノシシ夫婦が凸ります!
失意の森田さんの胸中とは!?